環境情報豆知識

ばい煙、粉じん、粒子状物質などについて 2 ―環境大気中にあるもの―

 1では主に工場・事業場や自動車から直接排出されるばい煙や粉じんについて、その発生源での規制についても説明しました。2では人が生活する場に存在する粉じんなどについて説明します。

浮遊粒子状物質(SPM)

 SPM(Suspended Particulate Matter)とも表示されますが、Suspendedの言葉のように、粒子状物質の中でも空気中を浮遊するすべての細かい粉じんの総称で、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示25号)の備考で「大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が10μm以下のものをいう」と定められています。環境基準は1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下かつ1時間値が0.20mg/m3以下です。この告示では、測定法は空気をろ紙で濾過して捕集する重量濃度測定法を基準として光散乱法などの自動測定器を認めていていますが、10μm以上の粒子をほぼ除去できる装置になっています。
 汚染状況は全国の大気汚染常時監視局の1,470、自動車排出ガス測定局の419箇所で自動記録計で常時測定されていて、全国の環境基準達成率は近年大幅に向上し、各々93.0%、92.8%になっています。1)
 なお、中国大陸から飛来する黄砂の粒径は数~数10μmで4μm付近にピークを持つといわれていて、10μm以下のものは浮遊粒子状物質となります。

微小粒子状物質(PM2.5)

 浮遊粒子状物質の粒径分布は2.5μmあたりを境にこれ以下の粒径と2.5μm~10μmの粒径の粒子との間で2山型のピークを持ち、2.5μm以下のものは人為発生の成分が多く、また、粒径が小さいことから特に人への健康影響が懸念されています。このため環境省は近年、測定法等の調査、検討さらに健康影響の評価を進めており、現在、環境基準に関する専門の事項を調査するために中央環境審議会の大気環境部会に「微小粒子状物質環境基準専門委員会」を設けています。
 浮遊粒子状物質を含めてこれらの微小な粒子状物質には人為起源である排煙や排出ガスと自然起源である砂塵(黄砂も含めて)や火山の噴火物などに加えて、二次生成物として人為起源の窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)や揮発性有機化合物 (VOC)などが原因のミスト(細かい液滴)が大気中で塩類などの粒子に変化したものも含まれます。
 なお、粒径がさらに細かい、概ね50nm以下のものを極微小粒子(環境ナノ粒子)といいます。

降下ばいじん

 屋外にあって風雨にさらされている物は黒く汚れて来ますが、これは降下ばいじんによるものです。降下ばいじんとは、煙突からの煙やジーゼル黒煙などの人為的なものに加えて、土砂や海塩粒子、噴火などの自然発生の粒子で、つまり、いわゆる煙や煤塵、粉じん、砂塵などで粒径の大きなものは自然落下し、浮遊粒子のようなものも降雨で地上に降ってくるものをいいます。測定はデポジットゲージ法などにより、1ヶ月間屋外に放置した容器に雨水とともに採取した試料を濾過するなどし、水溶性の塩類も含めてその重量を測るもので、測定単位は1箇月に1平方kmに降下したトン数(t/km2/月)で表し、現在も全国の867箇所1)で毎月行われていますが、環境基準のようなものはありません。
 大きな工業地域を持つ都市では昭和30年代から測定されてきましたが、昭和50年代以降は大幅な改善が見られています。ちなみに昭和40年代には工業、商業地域などで数10t/km2/月という地点も珍しくなかったのですが、現在では一部を除いて概ね2~5t/km2/月程度に改善されています。

スモッグ

 スモーク(煙)とフォッグ(霧)の合成語で、工場等からの煙や有害ガス、自動車排出ガスなどが微粒子やミストとなって視界を妨げる現象です。昭和37年に制定された「ばい煙規制法」2)、その後の「大気汚染防止法」第23条の緊急時の措置に基づき昭和30年代末から40年代に多く発令された、いわゆる「スモッグ注意報(警報)」はいおう酸化物の高濃度がスモッグの原因でしたが、昭和45年に東京都で初めて発令された「光化学スモッグ注意報」は、大気中でNOxと炭化水素類(HC)などが太陽紫外線によって光化学反応を起こして二次的にオゾンを主体とする高濃度の光化学オキシダント(アルデヒド類などの還元性物質や酸化性物質)を生成するものです。光化学オキシダントの環境基準は1時間値が0.06ppm以下 ですが、全国の大気汚染常時監視局1,145、自動車排出ガス測定局27箇所のうち、環境基準を達成しているのは各々1箇所に過ぎません。1)また、注意報の発令基準は同0.12ppm、警報は同0.4ppm以上です。3)
 昭和30年代から40年代のスモッグは、硫黄酸化物が高濃度になる冬季の大気が安定した弱風時に多く発生し、都市部では視界が100m以下となることもありましたが、光化学スモッグは強い太陽紫外線の作用によって発生するので日差しの強い夏季の弱風時に発生し、目の刺激や呼吸困難などの症状を引き起こします。

1) 平成19年度日本の大気汚染状況 環境省
2) 正しくは「ばい煙の排出の規制等に関する法律」、昭和43年に「大気汚染防止法」が制定され廃止された
3) 大気汚染防止法には注意報、警報の用語はなく、同法第23条第1項の措置、同第2項の措置を都道府県の発令事務要綱の中で用いている

 

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