環境情報豆知識

規制基準の種類と内容 3 ―構造基準等について―

工場、事業場が規制基準を遵守しているか否かを判断するためには、「濃度基準」であれば個々の煙突や排水口の出口濃度を機器で測定、または検体を採取し て試験所等で分析します。「総量規制基準」の場合には工場等のすべての法対象施設の煙突または排水口の出口でほぼ同時に濃度を測定・分析するとともに併せ て排出ガス(煙)量や排水量を測定、または定格能力と測定時の燃料や用水の使用量等をチェックして、各汚染物質の1時間や1日あたりの総排出量を把握しま す。しかし、通常、排出濃度や排ガス、排水量等は施設の稼働状況等によって変動するので、短時間で違反の可能性が高くなる最大時を捉えるのは困難です。ま た、行政の立入検査時には低濃度になるように施設を稼動するなどが行われることもあります。

濃度や排出総量の違反の把握にはこれらの煩雑さや困難さがあるので、汚染物質やその排出状況の特性等によっては「濃度基準」ではなく、排出を防止しえる 構造の施設や設備の設置を義務付ける「構造基準」や「設備基準」、また、排出防止のための管理、作業方法などを定める「管理基準」や「作業基準」等を規制 基準とする場合があります。さらに、施設の設置や作業を行える地域等を指定する「立地規制」、騒音や汚染物質を排出する作業等を禁じる「行為の禁止」など の規制があります。これらの基準や規制は現場での測定などの煩雑さがなく、外観や工場内に立入るだけでその遵守状況を判断できる利点があります。

構造基準、使用基準、管理基準等

「大気汚染防止法」の一般粉じん(同法は石綿を「特定粉じん」として、これ以外の鉱物、土石等の粉じんをいう)発生施設であるコークス炉、土石の堆積場、破砕機、ふるい等については集塵機の設置、散水設備での散水、施設を建物内に設置する、防じんカバーで覆うなどの施設の特性に応じた飛散防止に有効な「構造、使用、管理の基準」を定めています。

また、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法または廃掃法と略される)では焼却炉や最終処分場などの廃棄物処理施設について、臭気や粉じん、汚水等の発生防止のための詳細な「構造、保管、維持管理、技術基準」を定めています。

なお、水質汚濁防止法にはこれらの基準はありませんが、有害物質を含む排水の地下浸透を禁じる規定があります。

作業基準

大気汚染防止法は石綿(アスベスト)が使用されている建築物の解体等の「特定粉じん排出作業」については、作業現場に掲示板を掲げるとともに作業場の隔離、養生、集塵・排気装置の設置、薬液等による湿潤などの措置を行う「作業基準」を定めています。

立地規制、行為の禁止等

立地規制や行為の禁止規定は環境・公害関係の法律のほかにも多くありますが、地方の環境・公害条例には、粉じんや悪臭などの防止に関して上記の構造、管理、作業基準等とともに、例えばアスファルトプラント等の設置に関する接道条件(一定の幅員以上の道路に面していること)や用途地域規制、著しい騒音・振動を発する作業等の住居系地域での禁止、カラオケの深夜営業の禁止、農業関係を除く野焼きの禁止などの規制基準があります。

なお、「大気汚染防止法」の硫黄酸化物の規制のひとつに「燃料使用基準」があります。これは硫黄酸化物による大気汚染は、そのほとんどすべてが燃料中の硫黄分が燃焼によって硫黄酸化物になって排出されることが原因なので、冬季の暖房用ボイラーなどで使用される重油などに含まれる硫黄分を地域の汚染状況に応じて0.5%~1.2%の低濃度の燃料(例えばA重油)に限定する規制で、一種の「管理基準」といえます。冬季は気温逆転層の発生などで安定な気象条件の日が多く、さらに大都市のビル街では煙の拡散効果が十分に機能しない中で暖房用の燃料使用量が集中的に増えるために高濃度の大気汚染が発生していたことから実施された規制です。

1960年代の大都市では冬季に硫黄酸化物に起因するスモッグで数十m先が良く見えないという状況が発生し、大気汚染注意報(大気汚染防止法第23条1項の緊急時措置)や時に警報(同条2項の重大緊急時措置)が度々発令されましたが、この規制とともに都市ガスや灯油などの良質燃料への転換が進み現在では大きな改善が図られています。

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